映画の設定が、原作漫画で描かれている出来事や時間経過と矛盾している箇所があるという指摘があります。
アニメ第7期との整合性
原作漫画とアニメ第7期の内容を踏まえると、映画で描かれている出来事が、時系列的にどこに収まるのか疑問が残ります。
たとえば、デクが雄英高校に帰還した後の出来事であるにも関わらず、デクの精神状態や他の登場人物との関係性などに変化が見られない点は、違和感を感じる要因の一つと言えるでしょう。
ミリオが能力を取り戻すまでの流れ
- 雄英高校1年A組の生徒たちが、世界各国のプロヒーローとチームを組み、人為的に個性を発動させる薬「トリガー」を撲滅するため、世界規模のミッションに参加します。
- ミリオは、デク(緑谷出久)と共に、オセオンという国に赴きます。
- 二人はそこで、ヒューマライズという、個性を悪とみなし、世界から個性を消し去ろうとする組織の構成員に襲われます。
- その最中、ミリオはエリちゃんと出会います。
- エリちゃんは、ヒューマライズに捕らえられており、組織の計画に利用されるために、特殊な装置に繋がれていました。
- ミリオはエリちゃんを助け出し、逃亡を図ります。
- エリちゃんの「巻き戻し」の個性によって、ミリオの個性は回復します。
- ミリオは、個性を取り戻した状態で、ヒューマライズの計画を阻止するために戦います。
ミリオが能力を取り戻すまでの期間
映画では、ミリオがエリちゃんと出会ってから能力を取り戻すまでの具体的な期間は明示されていません。
しかし、作中の描写から、数日以内、あるいは数時間以内だった可能性も考えられます。
原作漫画では、エリちゃんは個性の制御が難しく、ミリオの能力を回復させるために、相澤消太(イレイザー・ヘッド)のサポートを受けながら、長期間にわたる訓練を行っていました。
映画では、このような訓練の描写はなく、エリちゃんは比較的容易にミリオの能力を回復させています。
この違いは、時系列のおかしさを感じさせる大きな要因の一つと言えるでしょう。
映画の設定と原作漫画の設定の矛盾
映画の設定と原作漫画の設定には、いくつかの矛盾点が見られます。
雄英高校1年A組の生徒たちの海外派遣
原作漫画では、雄英高校の生徒たちは、校外活動は原則として国内で行うことになっています。
これは、人前でみだりに力を行使してはならないというヒーローとしての倫理観、そして戦闘時も市民や建物への被害・損害を最小限にとどめるという教育方針によるものです。
映画では、生徒たちが海外に派遣されているため、この設定と矛盾しています。
エリちゃんの個性の制御
前述の通り、原作漫画では、エリちゃんは個性の制御に苦労しており、ミリオの能力を回復させるのにも時間を要しました。
しかし、映画では、エリちゃんは比較的簡単に個性を制御し、ミリオの能力を回復させています。
原作漫画では、エリちゃんの個性は、その強力な力ゆえに、制御が非常に難しいものとして描かれており、エリちゃん自身も自分の個性を恐れていました。
しかし、映画では、エリちゃんは比較的冷静に個性を発動させており、原作漫画で見られたような葛藤や苦悩はあまり描かれていません。