踊る大捜査線における室井慎次:組織に翻弄されながらも信念を貫く「ける者」

「踊る大捜査線」シリーズといえば、織田裕二演じる青島俊作を主人公とした、コミカルな警察ドラマというイメージを持つ方が多いかもしれません。

しかし、このシリーズを語る上で欠かせないもう一人の主人公ともいえる存在が、柳葉敏郎演じる室井慎次です。

室井は、警察庁のエリート官僚であるキャリア組であり、当初は青島のような現場の刑事を下に見ていました。

しかし、青島や湾岸署の刑事たちとの交流を通して、彼らの仕事に対する熱意や正義感に触れ、次第に考えを改めていきます。

室井慎次とは?

エリート官僚として、そして「ける者」としての室井慎次は、警察庁長官官房審議官を務めるキャリア官僚です。

彼は現場の刑事を尊重し、警察組織の改革を志すという理想を持つ複雑な人物として描かれています。

青島俊作との出会いや対立を通じ、互いに影響を与え合いながら成長していく姿がシリーズ全体を通して描かれています。

「ける者」としての役割

「ける者」とは、「閉ざされたものを開く者」「物事を進展させる者」「真実を明らかにする者」といった意味合いがあり、室井は警察組織という閉鎖的な世界の中で青島との約束を果たすべく、組織改革に挑む存在です。

しかし、室井の警察官人生は平坦ではなく、上層部の命令を無視した結果、警視庁刑事部参事官から降格、北海道警察本部美幌警察署長への左遷を経験します。

その後も広島県警察本部での昇進と、常に上層部からの圧力や組織内の軋轢に苦しむ中で、彼は改革への想いを強めていきます。

「踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!」における室井の死

本作では、室井は警察庁長官官房審議官として立てこもり事件の指揮を執り、事件解決に尽力しますが、事件後の息子の里親問題や飼い犬シンペイの捜索中に、吹雪の中で命を落とすという衝撃的な展開を迎えます。

彼の死は、自然の脅威と自身の責任感の強さを象徴し、シリーズ全体に暗い影を落としました。

室井慎次は本当に死んだのか?

一部のファンの間では、室井が生きているのではないかという憶測もありましたが、最新作「室井慎次 敗れざる者」「室井慎次 生き続ける者」では、彼の死が前提となっており、青島が墓参りをするシーンも描かれています。

なぜ、今、室井慎次なのか?