まずは、アニメ化で話題の原作漫画『タコピーの原罪』についておさらいしておきましょう。
タイザン5先生によって「少年ジャンプ+」で連載された本作は、小学4年生のしずかと、ハッピーを広めるために地球にやってきたハッピー星人・タコピーの交流を描いた物語です。
一見、可愛らしい絵柄で描かれたファンタジー作品のように見えますが、その内容は、いじめ、家庭崩壊、自殺など、社会の暗部を容赦なく描き出した衝撃的なものとなっています。
短期連載ながら、同時期に連載していた作品の中で最高閲覧数を記録し、単行本は上下巻で累計140万部を突破、「このマンガがすごい！2023」オトコ編で3位にランクインするなど、高い評価を得ています。
重厚なテーマを扱いながらも人気を博した理由は、緻密に張り巡らされた伏線と、読者の予想を裏切る巧みなストーリー展開、そして可愛らしい絵柄と残酷な描写のギャップにあります。
あらすじ
2016年、地球にハッピーを広めるためやってきたハッピー星人・タコピーは、小学4年生のしずかと出会います。
複雑な家庭環境と学校でのいじめに苦しむしずかを、タコピーはハッピー道具を使って助けようとします。
しかし、悪意や暴力といった概念を知らないタコピーは、事態を悪化させてしまうばかり。
やがてしずかは自殺を選び、衝撃を受けたタコピーはハッピー道具を使って過去に戻り、しずかを救おうと何度もタイムリープを繰り返します。
しかし、どんなにやり直しても、悲劇は繰り返され、物語は予想外の展開へと進んでいきます。
しずかをいじめていたクラスメイトのまりなもまた、家庭環境に問題を抱えており、いじめの被害者であるしずかが、加害者へと転じる場面も描かれるなど、単純な勧善懲悪では割り切れない、人間の心の闇や、加害と被害の連鎖が描かれています。
