はじめに
紀元前、春秋戦国時代の中国を舞台に、天下の大将軍を目指す少年・信と、後の始皇帝となる秦王・嬴政の活躍を描く漫画『キングダム』。
魅力的なキャラクターたちが織りなす壮大な物語は、多くの読者を魅了し続けています。
読者の心を揺さぶる要素の一つに、作中で描かれる様々な「死」があります。
戦争という極限状態の中で、彼らはどのように生き、そしてどのように死んでいったのか――。
死亡シーンから読み解く作者の意図
キングダムでは、多くのキャラが壮絶な死を迎えます。
その中には、物語の転換期となる重要なシーンも数多く存在します。
例えば、王騎の死は、信にとって大きな悲しみであると同時に、天下の大将軍を目指すという強い決意を新たにするきっかけとなりました。
信は、王騎から受け継いだ矛を手に、彼の遺志を継ぎ、戦場を駆け抜けていきます。
麃公の死は、信に本能型の将軍としての生き様を示し、その後の戦い方に影響を与えています。
麃公は、信に「火を絶やすな」という言葉と共に、自らの盾を託し、彼の闘志を燃やし続ける原動力となりました。
作者はキャラの死を通して、信の成長や物語のテーマを表現していると考えられ、その死は新たな「始まり」を告げ、物語に深みと感動を与えています。