ベルセルク考察:グリフィス受肉の謎 – 闇の翼フェムト、そして光の鷹へ
三浦建太郎氏によるダークファンタジー漫画『ベルセルク』。
重厚な世界観、魅力的なキャラクター、そして壮絶な物語で多くの読者を魅了し続けています。
本作において、物語の根幹を担う最重要人物こそグリフィス。
今回はグリフィスに焦点を当て、彼の「受肉」という謎に迫ります。
闇の翼フェムト、そして光の鷹へと至る軌跡、その変化に隠された真意を探求し、『ベルセルク』の世界をより深く理解しましょう。
グリフィスの役割と重要性
鷹の団を率いる若きリーダー、グリフィス。
その類まれな美貌、カリスマ性、剣技、そして戦略眼は、多くの者を惹きつけました。
彼は、作中における多くの出来事の起点となり、ガッツをはじめとする登場人物たちの運命を大きく左右する存在です。
野心家でありながら、どこか危うさ fragility を漂わせるグリフィス。
彼の存在は、作中世界における「因果律」や「運命」といったテーマを体現しており、その行動は物語全体に波紋を広げ、読者に深い問いを投げかけます。
蝕 – フェムト誕生の瞬間
グリフィスが「フェムト」へと転生する「蝕」。
それは、鷹の団にとって悪夢のような出来事でした。
王女シャルロットとの密通により投獄され、拷問によって心身ともにズタズタにされたグリフィス。
かつての輝きを失い、絶望の淵に沈んだ彼の前に現れたのは、「覇王の卵」と呼ばれる真紅のベヘリット。
グリフィスは、このベヘリットの力を使うことで「蝕」を引き起こし、自らの野望達成のため、愛する仲間たちを「深淵の神」に捧げるという恐るべき選択をします。
「…げる」
この一言に、彼の断ち切れない夢への執着と、仲間への愛よりも己の野望を選んだ残酷さが凝縮されています。
キャスカとの複雑な関係性も、この悲劇に影を落とします。
かつては互いに惹かれ合いながらも、グリフィスはキャスカを自身の野望のための道具としか見ていませんでした。
「蝕」の儀式において、鷹の団のメンバーは次々と使徒たちの餌食となり、ガッツは左腕と右目を失い、キャスカはグリフィスに凌辱され、精神崩壊に追い込まれます。
そして、グリフィスは仲間たちの血と魂を代償に、ゴッドハンド「フェムト」として新たな生を得たのです。
髑髏の騎士の言葉通り、ガッツとキャスカはグリフィスに烙印を刻まれたことで、世界の理の外側に身を置く者となってしまいました。